当院の実績について

当院における分娩統計 2021.1

2000年(平成11年)11月の開院以来、2020年(令和2年)12月までの約20年間の間に7712名の赤ちゃんがお産まれになりました。 今回はこれを総括し見直し皆様にご報告させていただくとともに、私どもの今後の診療指標としても活用してゆきたいと考えております。
ご来院いただいた多くの患者様には、心より感謝申し上げるとともにお子様の健やかなる成長をスタッフ一同願っております。

1.初産婦と経産婦の比率(7712名)

総数7712名の出産のうち、初産婦さんは3636名(47%) 経産婦さんは4071名(53%)と少し経産婦さんの方が多めでした。
経産婦さんのうち1798名(総数の23%、経産婦さんの44%)が前回も当院でお産をされているリピーターさんでした。
その中には、当院で5名のお子さんすべてを出産された方もおられました。また、4回とも当院で帝王切開での出産をされた方もおられました。
このように、繰り返しお越しいただけることは誠にありがたいことで、お互いの関係も密になりスムーズなお産や育児スタートに寄与したものと思われます。

2.出生児の性別(7712名)

3985名(52%)が男児、3722名(48%)が女児でした。
昨年の全国統計をみても、男児:女児は52%:48%でしたので平均的割合といえると思います。
最近では、性別を産み分ける希望をされる方も増えていますし、環境因子やさまざまな要因が性別に影響を及ぼす可能性があるものと思われます。

3.分娩様式(7712名)

自然分娩(経膣分娩)で出産された方が5935名(77%)をしめています。骨盤位(逆子)や前回帝王切開分娩をされているなどの理由で帝王切開で出産された方892名(11%)でした。
微弱陣痛などのために胎児が出てこれない場合や胎児の状態が不安定なために分娩を急がないと危険なために吸引分娩を選択した方が877名(12%)ありました。
2020年の1年間をみれば323件の分娩があり、その内自然分娩が217名68%、帝王切開が53名16%吸引分娩が53名16%でした。
無痛分娩の増加に伴って吸引分娩が増加する傾向にありますが、詳細は無痛分娩の項を御覧下さい。

4.帝王切開となった理由(892件)

帝王切開総数892件の内、前回帝王切開をうけておられる方が414件(47%)ともっとも多くを占めています。これには、後にお示しするVBAC(帝王切開後の経膣分娩)が不成功に終わった389件も含まれております。
次に多いのは、骨盤位(逆子)が240件(27%)を占めています。
その他、児頭骨盤不適合(骨盤が狭くお産が困難な場合)で199件(22%)、胎児機能不全(お産の際に赤ちゃんの状態が不安定になることです)での帝王切開が35件(4%)ありました。
最近では、出産に関しては安全性がもっとも重視されるあまりに帝王切開率が上昇しております。
VBACの適応が変わり、前回帝王切開の方は、次の出産時も帝王切開になる方が増えた為、当院でも帝王切開率は増えております。
手術の必要性を正確に判断することは非常に重要でありますし、その選択も時によっては一刻を争うような場合もございます。 そのような中でも、当院では妊娠分娩管理の充実により帝王切開率を少しでも下げれるよう努力して参りました。 今後も当院での重要課題のひとつとして取り組んでいきたいと考えております。

5.VBAC(帝王切開後の経膣分娩)(99名)

前回帝王切開で出産されていても、手術となった理由やその後の経過、また今回の妊娠の状況によっては経膣分娩が可能な場合があります。詳細は担当医にご確認ください。
当院では前回帝王切開で出産された方が414名おられ、その内99名(31%)の方がVBACをご希望になられました。しかし、ご希望通りに経膣分娩をされた方が62名(61%)で、残りの37名(39%)の方は帝王切開での出産となりました。
これらの方で異常のために帝王切開となった方は1名もおられませんでした。現在は、以前に経膣分娩の経験がある方に限定させて頂いておりますので、ご了承下さい。

6.促進分娩の理由(2257例)

当院では、原則的に自然陣痛を待ってお産をしていただいております。
しかし必要があれば、母児の安全のためには陣痛促進を必要とする場合がございます。これまで、2257名(経膣分娩の内37%)に陣痛促進を行っております。その内訳は、陣痛が始まっているも微弱なためにお産が進行しない場合が784名(38%)と最も多く、次いで、分娩予定日を過ぎても陣痛が始まらず、出産が妊娠42週を超える可能性がある場合が678名(33%)、破水後にもかかわらず陣痛がおこらない場合が299名(15%)となっております。
その他、計画的無痛分娩での陣痛促進を492例(24%)行いました。
以前と比較して、無痛分娩の為の陣痛促進が増加しております。
一部には必要性が重複した例もございましたが、主な理由にかぎり報告させていただきます。

7.無痛分娩について

以前より当院では無痛分娩を行っており、これまで761例の実績がございます。
この際行う硬膜外麻酔は帝王切開時にも基本的には全例に行っており、当院では891例の実績となっておりますが、幸いにも麻酔に伴う副作用は発生しておりません。このような経験を踏まえ、平成23年より計画的無痛分娩に取り組んでいます。
これは陣痛の始まる前に入院していただき、麻酔や陣痛促進の準備をしたうえで出産をしていただくものです。この計画的分娩の開始以来715例の出産がございました。当初は分娩総数の7%に過ぎませんでしたが、一昨年は42%、昨年は51%と増加傾向です。昨年度より、自然陣痛の発来を待って無痛分娩を行う待機無痛分娩も始めました。
昨年度ご希望されたのは14名(無痛分娩中10%)の方でした。また、陣痛開始後に急遽ご希望により無痛分娩を行った緊急無痛分娩の患者様も昨年度8名(無痛分娩中6%)おられました。
計画無痛分娩では分娩促進の前日に入院して翌日に分娩誘発を行っています。しかし計画的に入院していただいたうち、初産婦さん14名(28%)が分娩誘発に2日以上かかりその半数の7名(14%)が一時退院となりました。経産婦さんでは3名(8%)が分娩誘発に2日かかりましたが一時退院となった方はいませんでした。
無痛分娩では麻酔効果の為、陣痛やいきみ感がわかりにくくなったり力が入りにくくなったりすることがあります。
また陣痛そのものも微弱陣痛となることがあります。これらのことから分娩第Ⅱ期が遷延(初産婦さんで2~3時間以上、経産婦さんで1~2時間以上かかること)したり30分以上分娩が進行せず吸引分娩を併用することがあります。
昨年度は無痛分娩全体のうち33%が吸引となりました。吸引分娩率初産婦さん44%経産婦さんでは13%でした。
当院で無痛分娩をしていない場合の吸引分娩率は初産婦さんは10%、経産婦さんは4%でした。このように無痛分娩を行うことで入院期間が長くなったり吸引分娩が増加したりということはデメリットだと思われます。
今後も入院時期、麻酔量の調整や子宮頚管拡張法の工夫などにより、より無痛分娩のデメリットを減らしていきたいと思います。
無痛分娩を行う上で最も重要なことは安全であるということです。
一昨年、無痛分娩の副作用報告がとり立たされたことを受けて、無痛分娩を安全に行うための指針を掲載しておりますので、別途ご覧くださいますようお願い申し上げます。当院では今後も皆様のご要望にお応えできるよう、お産の一つの選択肢と捉え、これからも取り組んでゆきたいと考えております。
また、患者様絵のアンケートやスタッフによる鎮痛効果や出産の評価、または自己調節鎮痛に用いるポンプの使用状況等により無痛効果の判定も行っており、これらの結果についても随時皆様にご報告させて頂いております。
ホームページにも掲載されておりますのでご覧くださいますようお願い申し上げます。

当院における立ち会い分娩について(2021.1)

立会い分娩について

里帰り出産やご都合などにより、ご家族の立ち会いをされない方もおられますが、年々立ち会い分娩の比率が上がって きています。また、帝王切開時の立ち会いも可能です。
ご家族の支えのもと、力を合わせてご出産いただけることは、誠に喜ばしいことでございます。
育児をともに頑張る上でも、立ち会い分娩は意味があるかと思います。
しかし、R2年は新型コロナウィルス感染拡大防止の為、4月の緊急事態宣言以降、立会い分娩を制限させていただいたこともあり、前年よりも比率が下がっております。
今後も社会情勢により検討が必要になると思われます。
また、ご主人様に出産後臍帯切断をしていただく事も一般的になってきました。
皆様もご出産にあたり、是非ご検討下さい。

硬膜外麻酔を用いた無痛分娩についての評価 2021.1月

2012.5月よりPCA装置(麻酔薬の注入に用いる機械)を導入し、無痛分娩と帝王切開術後鎮痛に用いてきました。
また、患者様にはアンケート形式で御意見をいただき、スタッフによる効果判定やPCA装置の利用状況などを加えて評価いたしましたのでご報告申し上げます。

以前より硬膜外麻酔による無痛分娩をおこなって参りましたが、2011年6月よりは計画的無痛分娩にも積極的に取り組んできました。そんな中、2017年は82件、2018年は74件、2019年は125件、2020年は128件の無痛分娩を行いました。
そのうち昨年1月から12月に行った症例中、患者様からのアンケートを回収できた113件とスタッフ評価表137件による評価結果をご報告させていただきます。

① 対象:2020.1月から2020.12月までに無痛分娩を行った症例

138例(全経膣分娩の51%):
初産婦さん90名(初産婦全体の65%)
経産婦さん48名(経産婦全体の37%)

ここ数年の推移を(表1)にお示しします。
ここ数年に比べ無痛分娩を希望される方が増加しており、新型コロナウィルスの流行による里帰り分娩の減少が影響している可能性が考えられます。

1.緊急無痛分娩:8名(6%)

麻酔を予定していなかったものの、陣痛発来後に急遽無痛分娩を希望された場合や血圧上昇などの医学的適応で急遽無痛分娩となった場合を緊急無痛分娩と呼んでいます。
それ以外の130名(94%)の患者様は、妊娠中からの計画通り無痛分娩を行いました。
その中には、入院をあらかじめ決定して陣痛促進下に無痛分娩を行う計画的無痛分娩と陣痛がおこってから麻酔を開始する待機無痛分娩があります。

2.計画的無痛分娩:116名(86%)

計画的な陣痛促進に先立って陣痛が始まったり、破水により入院となった方が29名(21%)おられました。この内経産婦さん1名のみ麻酔をせず分娩に至りましたが、28名には予定どおり麻酔を行うことができました。
また、実施出来た28名中25名(89%)の方は子宮口開大の必要は有りませんでしたが、16名(57%)に陣痛促進が必要でした。
子宮口開大の処置が必要だった方は、計画的に入院された87名中77名(88%)でした。
このうち、初産婦さんは50名中45名(90%)、経産婦さんは38名中32名(84%)で初産婦さんはほとんどの方に必要でした。
子宮口開大の処置後に陣痛がおこりお産に至った方は9名(10%)おられました。
その他計画入院のタイミングで陣痛発来・破水が起こり、自然に分娩に至った方が、経産婦さんで3名おられました。
また陣痛促進前に麻酔を開始した方が26名(30%)おられ、初産婦さんでは42%、 経産婦さんでも13%でした。
分娩誘発から出産まで2日以上かかった方は18名(15%)うち初産婦さん15名(16%) 経産婦さん3名(6%)でした。
初産婦さんの内7名は分娩が進まず、一時退院となり、 内6名が自然に陣痛発来や破水で入院しましたが、1名が予定日超過で再診し、分娩と なりました。
無痛分娩をご希望された方のうち、2名は胎児機能不全、回旋異常で帝王切開分娩に切り替わりました。

3.待機無痛分娩:14名(10%)

痛みが始まってから麻酔を行うため、十分な効果を得られるまでには時間が必要です。
また、急激に痛みをとることは赤ちゃんにも負担がある場合がございますので少しずつ確認しながらお薬を追加していく必要があります。
しかし、スタッフの評価では計画無痛と待機無痛では最終的な鎮痛効果には大きな差はありませんでした。
陣痛はおこったものの、初産婦さん18%には微弱陣痛のため分娩促進剤が必要でした。うち1名の初産婦さんは予定日超過のために誘発分娩となりました。
吸引分娩率は計画無痛では33%、待機無痛でも36%とほぼ同率でした。
予定日超過の方を除いて子宮頸管拡張の処置を必要する方はおらず、初産婦さんでも 子宮口全開まで比較的スムーズに分娩が進んだ方が多い印象でした。
また、陣痛が来ている状態で硬膜外麻酔の処置を行うことが辛かったというご意見もありましたが、逆に痛みが和らぐことで麻酔の効果が実感できたとのご意見もありました。

表1 <無痛分娩を希望されました初産婦・経産婦の内訳>(単位:人)
2017年 2018年 2019年 2020年
初産婦 43(52%) 37(48%) 69(52%) 98(67%)
経産婦 39(48%) 40(52%) 43(48%) 49(33%)
総数 82 77 133 147

② 上記対象のうち、患者様よりアンケートが回収可能であった113名について、またスタッフ評価が可能であった138名についてご報告いたします。

無痛分娩を選択された理由について

お産、特に陣痛に対する不安を上げた方が大半でした。特に、経産婦さんは前回の出産が大変であったご経験や、他院で無痛分娩をご経験から選択されたかたが多かったです。
その他、産後の体力回復を期待して選択した方などがおられました。陣痛開始後に無痛を行った方は、お産に比較的時間がかかった方が多く、これ以上の痛みや経過に耐えられなくなり不安が生じたために選択された方がほとんどでした。

患者様アンケートからみた痛みについての評価(113例)

有効であったと答えた方が103名(91%)でした。その半面、すごく痛かったと答えた方が9名(8%)でした。無回答の方が1名おられました。その反面、まったく痛みがなかったと感じた方が20名(18%)おられました。(グラフ1)

痛みについての評価(患者様の評価)
グラフ1

スタッフ評価表からみた痛みについての評価(138例)

有効であったと判断した例が134例(98%)、効果が充分でなかったと判断した例は3例(2%)でした。さらに、ほとんど痛みがなくかなり有効であったと判断した例は75例(55%)ありました。(グラフ2)

痛みについての評価(スタッフの評価)
グラフ2

以前は患者様アンケートの結果とスタッフの評価は少し異なっていました。つまり、スタッフが有効と判断していても、患者様はもっと痛みをとりたいと感じておられたということです。
しかし、最近はお産をするためにいかに陣痛が必要か、また吸引分娩を減らすために出産間近の陣痛やいきみ感が必要であることを皆様にご理解いただくようご説明させていただいております。これにより、患者様の無痛に対する期待度とスタッフの評価した有効度が近づいてきたものと考えております。

また、自己調節鎮痛にあたり自分でボタンをおして薬を追加することが可能ですが、実際にはお薬が入る間隔や量は安全な範囲に調整されています。ですので、痛みが強くなるとボタンを押す回数が多くなり、実際にお薬が入る回数以上にボタンを押されることがあります。このような方は67名(49%)でした。
やはり陣痛が強まるにつれ麻酔薬の追加が必要ですが、それも痛みが強くなりはじめた際の一時的にすぎず、お薬が充分に足りてくるとまた落ち着いた状態になられる場合が大半でした。
以前は最高では42回追加ボタンを押された方がおられましたが、昨年は5回以上追加された方が61名45%を占めていました。2回以下の方も24名20%、一度も追加されなかった方は1名おられました。(表2)にお示ししたように、やはり初産婦さんは出産にも時間を必要とし、経産婦さんよりも多く追加される傾向でした。

表2 <自己調節による麻酔薬の追加回数>(単位:人)
5回以上 3~4回 1~2回 0回
初産婦 48 27 15 0
経産婦 13 23 11 1
全体を占める割合 44% 36% 19% 1%

無痛分娩を行うにあたっての問題点

スタッフ評価より下肢のしびれがまったくなかった方は52名(38%)でした。それ以外の方は軽度のしびれ感がありましたが、単独での歩行困難な方は9名(6%)でした。このような場合には、麻酔を一時中断したり減量して対応するとしびれ感が和らいできます。少ししびれるぐらいが効果は高いように思います。

しかし、やはり麻酔が強く効くと陣痛が来ているのがわかりにくかったり、お産の際のいきみ(力をいれてきばること)ができなくなることがあります。このような方が、2名(2%)のみおられました。

また、硬膜外麻酔に使用するチューブの挿入時の痛みが辛かったと答えた方が12名(10%)、誘発分娩に先立って行う子宮頸管の拡張が辛かったと答えた方が17名(15%)おられました。
お産をスムーズにすすめるためには必要なものではありますが、やはり痛みを伴う処置だと思います。硬膜外麻酔のチューブ挿入時の姿勢が辛かった方や、硬膜外麻酔チューブ挿入時の局所麻酔の注射痕の痛みで眠り辛かった方もおられました。
次回も出産される場合には無痛分娩を選択されますか?との質問には、11名98%が次回も無痛分娩を希望されるとの回答でした。
2名はどちらともいえないとの回答でした。やはりご希望いただく限りは、充分に満足のいく結果が得られるようさらなる工夫をしてゆきたいと思います。

総括

以上のように、硬膜外麻酔は無痛分娩にはきわめて有効な方法です。当院ではこれまでに、無痛分娩で761例、帝王切開で891例の硬膜外麻酔を行っており、特に異常はおきておりません。
しかし麻酔や陣痛促進のために行う処置には、痛みなどの負担や経済的負担以外にも多少なりとも危険性を伴います。安全性を確保するため今後も努力してゆく必要があります。
具体的には、無痛分娩を安全に行うための指針を公表しておりますので御覧下さい。昨年よりJALAによる施設認定を受けました。 また無痛分娩では麻酔効果の為、陣痛やいきみ感がわかりにくくなったり力が入りにくくなったりすることがあります。 陣痛そのものも微弱陣痛となることがあります。 これらのことから分娩第Ⅱ期が遷延(初産婦さんで2~3時間以上、経産婦さんで1~2時間以上かかること)したり、30分以上分娩が進行せず吸引分娩を併用することがあります。 昨年度は無痛分娩全体のうち33%が吸引となり昨年の31%からは横ばいとなっております。
吸引分娩率は初産婦さんで44%、経産婦さんでは13%でした。 当院で無痛分娩をしていない場合の吸引分娩率は初産婦さんが10%、経産婦さんは4%でしたので、それに比べると高率です。
しかし他施設の報告では、無痛分娩時の吸引分娩率は50-60%程度のところもあり、これと比較すると当院では低く抑えられているものと思われます。
これも前述したように、出産間近の陣痛やいきみ感が必要であることを皆様にご理解いただくように努めた結果かと思われます。
麻酔時の下肢のしびれ感のなかった方は、今回の報告では38%と横ばいでした。
更なる工夫により、これらの成績も改善できるように努めたいと思います。 そのためには、患者様が陣痛を自覚することができ、自分の力でお産ができる感覚を維持することが重要です。
つまり、無痛分娩でもそれなりの痛みを自覚する必要があるということです。 患者様の中には、無痛分娩はまったく痛みのないお産だと期待されている期待されている方もおられると思いますが、けしてそうではないのです。
陣痛を乗り切る一つの手段とお考えいただければ幸いです。

しかし、計画的に出産を進めることに伴う負担を感じておられることも事実と認識しております。この対策として一昨年度より、陣痛を待機した後に行う待機無痛無痛分娩にも取り組んで来ました。特に初産婦さんの場合は分娩にも相当の時間を要するため麻酔の準備のできる時間的余裕もある場合が多いです。しかし、経産婦さんでは陣痛開始後には非常に順調にお産になられる方もおられますので麻酔が間に合わないことも想定されましたが、昨年麻酔分娩を予定していた方で麻酔が出来なかった方はいませんでした。このような問題点をご理解いただきながら、皆様のご希望にそった形でも無痛分娩の取り組みを開始したいと思います。詳細は担当医、スタッフにお聞き下さい。

理想的な無痛分娩とは、辛い痛みをとりながらご自分の力でお産が出来るものではないかと思います。しかし、痛みの感じ方や経過は様々です。その皆様のご希望に添えるように工夫していくことも重要であると考えております。

最後に文献から見た無痛分娩における医学的メリット・デメリットをお示ししておきましょう。

メリット

  1. 高年初産や妊娠高血圧症候群などの、ハイリスク妊娠に有用。
  2. 赤ちゃんが産まれてから胎盤が出るまでの時間(分娩第3期)が短い。
  3. 外陰部の伸展効果のため、児頭下降や吸引分娩操作が容易である。
  4. 外陰部の麻酔効果により、産後の創部縫合などの処置がしやすい。
  5. 母体の体力が温存され、産後早期より赤ちゃんとかかわれる。

デメリット

  1. 麻酔薬や操作にともなう副作用に注意が必要。
  2. 吸引分娩率が高い。産道での児頭回旋異常率が高い。
  3. 微弱陣痛になりやすく、陣痛促進剤使用率が高い。また、分娩までの所要時間も延長する傾向にある。

自然分娩と違いを認めない点

  1. 緊急帝王切開となる率や分娩時の出血量には相違がない。
  2. 新生児に対する影響についても差はないとされている。
    逆に、分娩時の痛みは胎児への酸素供給量を減少させるので効果的な無痛分娩は胎児にもメリットがある可能性もある。

以上のような結果をふまえ、無痛分娩の選択をご検討いただければと思います。

R2年度 当院におけるメンタルケアーの現状

近年、精神的不安を抱えておられる方や、投薬治療を必要とされる方が増えております。
これらの方々には、妊娠、出産、育児にあたり、よりきめ細かい、継続した支援や関わりが必要です。
当院では、妊娠中から産後にわたり質問表(エジンバラ産後うつ質問票:EPDS、赤ちゃんへの気持ち質問票、 育児支援チェックリスト)の活用し、きめ細やかな聞き取り、受持ち制の導入、 臨床心理士によるカウンセリング、地域保健師との連携を行っております。

1.妊娠初期(EPDS・育児支援チェックリスト)

388名にテストを行い、40名(9.7%)が基準を上回る結果でした。
これらの多くは、悪阻症状によるものが多く、悪阻の軽快により不安は解消されました。
悪阻以外に原因が考えられる場合には、テストを再度行い、受持ちスタッフが担当し、 より多くの機会にご相談頂けるようにしております。
ご希望により、臨床心理士による心理カウンセリングを実施しております。
2020年、受持ちスタッフが対応した患者様は97名(30%)
そのうち心理カウンセリング療法を行った患者様は11名(11.3%)でした。

2.産後2週間・1ヶ月検診(EPDS、赤ちゃんへの気持ち質問票、育児支援チェックリスト)

323名にテストを行い、産後2週間健診では30名(9%)産後1ヵ月健診では14名(4.3%)の方が 基準を上回る結果でした。
出産された323名の中で、地域の保健師と連携を取り支援を必要と された方が、35名(111%)おられました。
これからも細やかなメンタルケアーを通して、 皆様の安全・安心な出産、育児支援をおこなってまいります。
皆様のご協力をお願い申しあげます。

当院における授乳状況について(2021.1)

栄養方法の内訳

母乳栄養について

・毎年、母乳栄養について、退院時、2週間健診時、一ヶ月健診時で確認を行っています。

・今年度、初産婦さんの母乳率は、例年と比べても退院時・2週間健診の時点で大差はございませんが、
 1ヵ月健診での伸び率は振るっておりませんでした。

・経産婦さんのおいては、2週間健診ですでに母乳率は伸びておらず、1ヶ月検診でも横ばいの結果でした。
 コロナ禍の状況もあり、各方面からのサポートが得られにくく、心身に掛かる負担が少なからず
 影響しているのではないかと考えられます。

・母乳は母児関係を築く上で大切な事のひとつであり、バースプランで母乳に関するご希望を伺うと、
 多くの妊婦様は母乳をあげたいと思っていらっしゃいます。
 しかし今の社会状況からも必ずしも母乳にこだわりすぎる必要もないと思っております。

・スタッフ一同、母児を取りまく環境を理解して、必要なアドバイスや時には実技を一緒に行いながら、
 健やかな授乳生活が送れるよう支援させて頂きます。
 妊娠期から母乳育児への適切な情報を提供し、退院後も母乳外来を通してお母様をサポートさせて頂きます。

当院産後ケアの現状 (2021.01)

近年、育児を取り巻く環境は厳しくなりつつあります。
当院では、産後のサポート不足、リフレッシュ、育児技術の習得を目的とした当院独自の産後ケアサービスH26年10月より実施しております。
社会のニーズも高まり、H27年10月に大阪市が産後ケア事業に対する助成を開始し、 次いでH29年6月には豊中市吹田市H31年には箕面市が助成を開始しました。
当院も市の審査基準をクリアし、認定施設として登録を受けております。
当院で出産された323名の内37名(11.5%)の方が当院での産後ケアをご利用されており、 全体の利用者数54名に対し68.5%でした。
しかし今後分娩者数の増加により、希望者全員の受け入れが困難になることも考えられ、検討すべき課題です。
昨年は新型コロナウィルスの影響で、産後の里帰りや、家族の遠方からのサポートが予定通り得られず 不安の多い中の育児のスタートをせざる得ない状況の方が多くいらっしゃいました。
産後ケアのニーズが高まる中、当院の空室が無いことで、ご利用をお断りしたケースが35件ありました。
今後も利用者様へのアンケートを実施し、皆様のニーズを踏まえ、 充実した産後ケアサービスを行えるよう努めてまいります。

利用者内訳

利用者内訳

利用目的内訳

利用目的内訳

利用日数内訳

利用日数内訳

★医学雑誌、メディカ出版より発行されている、PERINATALCARE(ペリネイタル ケア)2019.2月号に、当院の産後ケアの取り組みが取り上げられました。
掲載ページの冊子がございますので、ご興味のある方は受付までお知らせください。